シンポジウムの後、記者会見するパネリストら=東京都渋谷区の国連大学、木村健一撮影

日韓国交正常化から50年に合わせ、日韓関係の歩みを振り返り、未来を考える講演会やシンポジウムが21日、東京都内で開かれた。

 

在日本大韓民国民団中央本部が主催した記念行事では、申珏秀(シンガクス)・元駐日大使と武藤正敏・前駐韓大使が講演。2013年まで東京に勤務した申氏は、日韓両国で「韓流」「日流」と呼ばれる大衆文化ブームが定着したことを挙げ、「この50年に両国関係は総じて発展してきたとの評価は可能だ」と指摘した。

 

その上で、日韓関係が発展と後退を繰り返すのは、両国民で歴史和解ができていないことが足かせになっているためだとし、「未来に向けたビジョンが必要だ」と述べた。

 

12年までソウルで勤務した武藤氏は、韓国が慰安婦問題など「歴史問題」の解決を強く迫るほど、日本社会で反発が起きる現象があるとし、「韓国の主張が一方的に正しい、ではなく、相互尊重の考えに立たないとうまくいかない」と指摘。韓国の教育現場で、植民地時代の歴史だけではなく、国交正常化後、日本が韓国の経済発展に協力した側面を教えることも、関係を進める上で重要だと話した。

 

一方、国連大学(東京都渋谷区)で開かれたシンポジウム「日韓未来対話」では、主催の言論NPOが韓国のシンクタンクと実施した共同世論調査をもとに、日韓26人のパネリストが討議。国際人権NGOメンバーの吉岡利代さん(31)は「(調査では)20代の3割はお互いにいい印象を持っている」と前向きにとらえ「課題解決に向けて、若者世代がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で一人ひとり発信していけたらいい」と話した。韓国の国会議員の金世淵氏は「日韓両国でサッカーの共同リーグをつくり、個人のレベルで親近感を高めるのもいい」と提案した。